トランプ関税、朝令暮改にも備えを



令和7年4月10日
セリングビジョン株式会社
代表取締役 岡部秀也
(景気循環学会会員)

○本日の相互関税を突然延期

 トランプ大統領は、相互関税の発令を深夜(日本時間)やめた。急な方針転換は、まさに朝礼暮改でますます対米への自由主義国から安堵の声も聞かれる一方で米国への政策不信感が増幅している。
 米国に対し報復関税を課さずDEALに応じる日本(今日から24%予定)など75ケ国には90日間の「執行猶予」を与えると突如発表したからだ。ただし自動車への追加関税25%と他製品への一律関税10%は執行されたままだ。米国に対し報復関税84%を行う中国にはトランプは104%をさらに125%に引き上げて一位、二位の世界経済大国は「喧嘩を売る、喧嘩を買う」経済合戦がヒートアップしている。ますます,余談を許さないカオス(Chaos)で不透明(Uncertainty)な事態に突入している。

○なぜ延期か?

 本ニュース4/8でレポートしたが、やはり下記だろう。
 「世界経済を破壊するような一方的で理不尽なトランプ関税は、長く続かないだろう。ウォール・ストリートや各国の猛烈な批判を浴び、さらに米国企業や消費者の内からの抗議も半端でないからである。」
 側近の内輪揉めも聞かれ、各方面から反対の矢面に立つトランプは、政権が持たないと判断したかも知れない。米国株式市場は、数日で史上最大の値下げが起きたが、急にリバウンドした。まるで深海と天空を行ったり来たりの超ボラティリティ(Volatility)だ。

○追加の備えを

 今回の朝礼暮改の政策転換は、やはりトランプしか米国政策を判断できず、議会も機能していない現状が鮮明になった。
 投資家は、リバウンドの市場をとらえ、今後起きる次の危機に備えリスクオフ(回避行動)の行動をとるべきではないか。予見できない大荒れの世界経済の混迷がいったん収まりつつあるときは、ある程度の行動をとるチャンスだろう。逆に株式が急上昇したからといって買い漁りは大損する可能性があるとみている。
 まだまだ、高配当の内需、ディフェンシブ株式の買い増しはリスクが低く、比較的安定してると考える。

 これから「トランプ裁定舞台の一番列」にならんだ日本は短期的に日米政府間交渉をどう進めるのか。アラスカ凍土を掘ってLNGパイプラインを通す米国インフラ整備に、日本の税収を活用するのか、日本側はカードが少ないだけに、カード好きなトランプのDEAL交渉には効果が読みにくい。民間は無理だから国の資金で先導するしかないだろう。
 同時にアジア諸国などとの自由貿易主義をしっかり定着していくことが日本にとって長期的利益につながるかも知れない。

以 上


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