原子力発電所の再稼働への期待と課題



令和7年12月1日
セリングビジョン株式会社

     日本の電力会社の原子力発電所が、再稼働する勢いがついてきたのは大変好ましい。想定外の天変地異の大地震と15mもの大津波(宮古市では最大40m)により2011年3月に福島第一原子力発電所の爆発事故が起きて以降、国の原子力規制委員会による世界的にも厳格な安全基準を設定して、これを厳しくクリアするために、電力会社、重電メーカー、ゼネコン、地元企業が10年以上もかけ、甚大なインフラ整備資金を投じ、新たな安全技術を導入し、数多の技術者を動員し、まさに純国産エネルギー、原子力再稼働への道は汗の結晶、成果といって良いだろう。原子力立地の地元住民や首長の声を聞き、最終的に知事の同意を得て、再稼動して、息の長い苦難や高い壁を超えてきた。再稼働に努力してきた政府、官庁、地元そして特に発電所の各号機のスタッフの中には、まさに苦難を一緒に乗り越えてきたプロジェクトXのチャレンジストーリーも数多くあっただろう。
     電力会社では、九州電力や関西電力の原子力発電所の多くの号機を始め、四国電力伊方3号機の加圧水型PWRが稼働してきた。最近は沸騰水型の中国電力島根2号機が再稼働し、東北電力女川2号機、東京電力柏崎刈羽6、7号機の再稼働に知事の同意が得られた。至近では北海道電力泊3号機も知事の了解を得て、稼働し電気料金の引き下げも予定されているようだ。日本原子力発電東海第二も住民の避難ルートを確保して知事の了解を得て再稼働に道筋をつけてほしいものだ。
     なせ日本には、安全強化をした原子力発電がいま必要になるのか。原点は、日本が無資源国で石油、石炭、ガスは海外から輸入し、甚大な貿易赤字を抱えて、国の経済力が落ち、円安で物価が上がるという避けられない経済構造がある。これは、エネルギーの価格を上げ、莫大な化石燃料を燃やして地球温暖化につながり、将来のAI需要に伴うデータセンターへの電力不足を引き起こし、国力が落ち、国民の暮らしは落ちることになる。この宿命は明らかであり、それを回避しレジリエンスを高めなければならない。
     それが原子力発電所の再稼働により、改善することが期待できる。電力の安定供給につながり、価格の上昇を止め、CO2を排出しないため温暖化を抑制できるし、AI半導体やデータセンターの立地により、国や国民の経済強化が図る希望もある。
     また、米国、中国などにはるかに遅れた日本の原子力先端革新技術を再び研究開発することにもなり、若者への教育や運転技術の継承にもつながることは良いことではないか。
     ぜひ、熱い情熱、ウォームハートを持って原子力イノベーションに挑戦してほしいものだ。もちろん、安全安定な原発の稼働にはクールヘッドで合理的、科学的な原子力発電所の再稼働経営をしてほしいものだ。
     当社も少しでも、この原子力発電の分野でお役に立ちたいと考えている。


    以 上


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